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【田坂広志 人類の未来を語る】

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【田坂広志 人類の未来を語る】

今年イチの本当にすごい書籍だと思います。これは今後必ず語り継がれる日本の名著になると思います。これほど法則的に普遍的に哲学的に未来を語っている本は無いのではないかと思います。

 

欧州最高の知性と呼ばれるジャック・アタリ博士からのメールから本書のキッカケが生まれた。未来を予見する5つの法則の英語版を読んだアタリ博士から非常に感銘を受けたのでもっと詳しく話を聞きたいというもの。

未来を予見する方法として「ヘーゲル弁証法」を用いることが最良である。加えて「SF的想像力」を用いる。無条件の想像力が人類の未来を予見する深いインスピレーションを与える。

人間が想像できることは、人間が必ず実現できる。というジュール・ベルヌが残した名言の通り。

我々の生きているこの社会システムは人間の意志に従ってどこまで制御可能か。「高度な複雑系」を振る舞うように成っている。それは生命システムのような性質。創発や自己組織化とは、外部から意図的に働きかけなくとも自然にシステムの中に秩序や構造が生まれてくる性質。

バタフライ効果。システムの片隅の小さな揺らぎがシステム全体に大きな変化をもたらす。複雑系の挙動は外部からコントロール出来ないが、複雑系を構成する「個々のエージェント」の行動ルールが、複雑系全体の挙動を決めていく。

経済や経営分野での新常態。個人でも、平時から、パンデミック時にも収入が途絶えないように、「複数の職業」を持つことが新常態になっていくが、政府は、これを雇用制度の面からも支援する必要がある。

第四次産業革命では、AIが普及するため、文献知よりも体験知が大切になる。そのため映像体験オンライン学習を普及させることが望まれる。

合理的利他主義を普及させるには、博愛や慈悲の心、倫理や道徳の大切さを語ってきた「宗教」と客観的な現実認識と未来予見の出来る「科学」が力を合わせて進めていくことになる。

●AIによる大量失業は、ベーシックインカムの議論を活発にさせるが、深く考える必要がある。それは「働き甲斐」というもの。労働は苦役でなくアートという高度なものになり深い喜びを伴うものに変わっていく。失業可能性のある人に対する能力開発教育を行い、働き甲斐を感じてもらうことが政府や企業の基本的責任となるだろう。それを通じて、AIは結果として人間を不要にする技術でもなく、人間を支配下に置く技術でもない、「人間が最も高度な能力を発揮する舞台を支える技術」に他ならない。

デザイナーベビーの誕生。これは貧富の差が能力の差になった社会のこと。非民主的国家でありながら利益至上資本主義の先頭を走っている国が実用化、商用化する。しかし優れた子供を作りたいという欲望は止まることを知らないだろう。

その時、日本という国に古くから伝わる叡智の言葉「我、ただ、足るを知る」。与えられた制約の中で感謝を持って生きるという謙虚な生き方、懐かしい価値観の大切さを我々に教えるのではないだろうか。

民主主義の未来はどこへ向かうか。民主主義についても螺旋的発展が起こる。かつて人類の主流であった直接民主主義が新たな形で復活してくると考えられる。

集落だった時とは違い、人数が多くなるにつれ、委ねる形となり、ポピュリズム、分断も大きな問題となっている。日本には労働観として、働くとは、傍(はた)を楽にするという、社会貢献の精神が含まれている。日本には利他の心が受け継がれている。

ロボティックス革命や人工知能革命が、多くの人々が、より働き甲斐のある高度な仕事に取り組める基盤を創っていく。それは同時に仕事を通じて社会に貢献し社会を変革するという意識を誰もが持てる時代を切り開くことが可能ということを意味している。真の参加型民主主義。

宗教と科学が融合する時代に突入する。労働はアートになる。

不死は空想科学の想像という議論から現実科学の可能性の議論になっている。人間の脳をコンピュータに移すことができるのは2040年初頭、とレイカーツワイルはポストヒューマン誕生という書籍で論じている。

不死は人間を幸せにするか。否。永遠の命が与えられた状況で我々は時間というものに価値を感じなくなり目の前の時間を大切に使い、日々を充実して生きるという姿勢を失ってしまう。

未来の具体的な変化を予測することは出来ないが、大局的な方向を予見することは出来る。水は低きに流れる。ヘーゲル弁証法を学ぶことが未来を予見することに繋がる。

1、螺旋的プロセスによる発展。世界はあたかも螺旋階段を登るように発展する。

2否定の否定による発展の法則。現在の動きは必ず将来、反転する。

3、量から質への転化。量が一定水準を超えると質が劇的に変化する。

4、対立物の相互浸透による発展。対立し、競いあっているもの同士は互いに似てくる。

5、矛盾の止揚による発展。矛盾とは世界の発展の原動力である。

ビジョンや政策や戦路がすぐに陳腐化してしまう時代が到来した。

「合理化」と「効率化」のためにひとたび消えた機能は、必ず、復活する。「進化」においては「古いもの」が消えていかず「新しいもの」と共存し共生していく。「進化」の本質とは、「多様化」のこと。世界が「多様性」を増していくこと。

否定の否定による発展の法則が、随所で起こっている。世の中はあたかも振り子のように変化する。

コストを劇的に下げることで、主戦場の移行を早めることができる。

対立し競い合っているもの同士は互いに似てくる。証券会社と銀行がユニバーサルバンクへ進化することや営利企業と非営利企業は互いに社会貢献企業へと進化する。資本主義と社会主義も相互浸透を通じて進化して来た。(ロシアや中国は資本主義の市場原理を取り入れ発展して来た。)

世の中の物事が変化し発展し進化していくのは、その物事に矛盾があるから。生命力に他ならない。

マネジメントの本質は「矛盾のマネジメント」である。例えば企業経営における「利益追求」と「社会貢献」。矛盾に対して「割り切らない」事こそが矛盾のマネジメント。割り切ってしまうと生命力が失われてしまう。矛盾があるからこそ企業の生命力が生まれる。

互いに矛盾し、対立するかに見える2つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し包含し統合し超越する事によってより高次元のものへと昇華していく事を「止揚」という。弁証法的な止揚をすることである。矛盾のマネジメントの要諦は振り子を振ってバランスを取る事。

利益か貢献か、の矛盾を例にすると、

「企業はまず、本業を通じて、社会に貢献する」「利益とは社会に貢献したことの証である。」「企業に多くの利益が与えられたということはその利益を使って更なる社会貢献をせよとの、世の声である。」この日本型経営の言葉は両者の矛盾を止揚した経営哲学として深みを持っている。

もう一つの矛盾。例えば、短期的収益と長期的戦略。これについても振り子で考え全体のバランスを取る事が求められる。振り子を振り続けバランスをとり続ける事によって組織のメンバー11人の「学び」と組織全体の「学び」を促していく。

例えば、政治における自己責任と弱者救済の矛盾。大きな政府でやって来た国においては、困ったときは政府が助けてくれるという依存意識が国民に染み込んでいる。その弊害が指摘され振り子は現在自己責任や自助努力に向かって振れている。これも長期視点で見ると弱者救済の方に振り子が戻っていくだろう。矛盾のマネジメントで最も重要なのは、「どの時点で振り子を振り戻すのか」のタイミングの判断である。

人物の器とは、壮大な矛盾を抱えることの出来る「魂の力」に他ならない。仏教学者・亀井勝一郎が「割り切りとは魂の弱さである」と語っている。経営者やリーダーに求められるのは目の前の矛盾から逃げる事なく矛盾と格闘し続けることである。

【これから起こる12パラダイム転換】

・「貨幣の経済」に対して、「善意の経済」が影響力を増していく。そして、新たな経済原理が生まれてくる。

・多くの消費者や生活者が、社会の変革とイノベーションのプロセスに参加するようになる。

・「政治」の分野だけでなく、「経済」と「文化」の分野でも、直接民主主義が実現する。

・言葉を使ったコミュニケーションではなく、言葉を使わないイメージ・コミュニケーションが広がっていく。

・「考える」ことを重視する文化と、「感じる」ことを大切にする文化が融合していく。

・誰もが、自分の中に眠るいくつもの才能を開花できる「ダ・ヴィンチ社会』が到来する。

・誰もが、自分の中に隠れている「複数の人格」を表現できる「脱ペルソナ社会」が実現する。

・単一価値の「イデオロギー」の時代から様々な価値観を受容する「コスモロジー」の時代に向かっていく。

・排他的な「一神教」の時代から様々な宗教が共生する「新たな多神教」の時代が始まる。

・「機械論的世界観」に基づく科学ではなく、「生命論的世界観」に基づく科学が主流となっていく。

・現代文明の「科学技術」と古い文明の「生命論的な叡智」の融合が起こる。

・東洋文明と西洋文明が互いに学び合い、21世紀の「新たな文明」が生まれてくる。

 

政治だけでなく、経済や文化の領域においても直接民主主義が広がっていく。web3.0により自分の欲しい商品を自分のためだけに作られる商品として発注し入手出来るようになっていくから。

民主主義は多くの人が意思決定に参加することから、多くの人が社会変革に参加する事へ深化する。

螺旋的発展により懐かしいコミュニケーションである、非言語コミュニケーションとイメージコミュニケーションの時代が復活して来た。現代の洗練されたメディア技術を用いた高度な非言語コミュニケーション。何が起こるか。考える力、論理的思考力から感じる力、感覚的直感力へのパラダイム転換が起こる。

すると、シングルタレントからマルチタレントへ。いくつもの能力を開花させることの出来る人生。ダヴィンチ社会へ。脱ペルソナ(仮面)の個々のパーソナリティを生きる時代になる。

 

 

 

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