ルポ 特殊詐欺 (ちくま新書 1691) https://amzn.asia/d/4xE1ykv
【ルポ特殊詐欺】
これは学校教育などで青年世代に伝えておく必要があると思いました。特殊詐欺も複雑で巧妙化しているが、Twitterなどがこの発端となり、沼にハマっていく。そしてギャンブルによる多重債務がいつの時代も沼への入り口であることが改めて勉強になります。
●闇バイト、を入り口に詐欺という「仕事」を軽い気持ちで始めさせてやがて莫大な被害を生み出す組織的特殊詐欺。犯行グループの手口は関わる人間を互いに分断し手順を複雑化させている点。
●刑法60条は2人以上協同して犯罪を実行したものは全て正犯とする定める。
●Twitterでお金が欲しいと呟いた人の元に「稼がないか」というDMが来るところから始まる。
●ギャンブル依存から闇バイトへ。仕事の人間関係がうまくいかずストレスでパチンコへ。手取15-17万で月に5-10万をギャンブルに使った。生活が立ち行かなくなり消費者金融に手を出しやがて闇金に手を出した。Twitterで闇バイト、高額報酬などと検索して特殊詐欺と出会う。
●警官の服装、偽の警察手帳でキャッシュカードが不正利用されているから預かる必要があると訪問し、封筒に暗証番号とキャッシュカードを入れて封を開けず保管して下さいと伝え、それをすり替える。
●初犯からタタキ(強盗)に行くまで1-2か月の人もいる。本人確認のために送った免許証や親の名前、住所、連絡先などが人質として取られているため、「お前のやったことは犯罪行為だ。Twitterで拡散するぞ。親がどうなっても良いのか」と脅しをかけるのが定石で抜けられなくなる。
●指示役と捨て駒の実行犯のやり取りは秘匿性の高いテレグラムが使用される。自動的にやり取りが消えるため足がつかない。
●正体の見えない指示役の男は暴力団が関係している。暴力団の資金源であるトクサギ(特殊詐欺)は、末端の受け子、出し子からリクルーター(勧誘役)、そして指示役によって実行されている。
●受け子出し子は捜査が及べばあっけなく切り捨てられる。テレグラムやシグナルというアプリはユーザー側が設定した時間でメッセージ内容や通話履歴が自動的に次々に消えていくため指示役まで手を伸ばすことが難しい。
●5分10分、3日などと自由に設定できる。シークレットチャットという機能を使うと勝手に通信内容が消えていく。サーバーにも残らず復元もできない。
●詐欺グループの上を辿ると大体3グループくらい。上層部の暴力団もかつてほど単純な構図ではなくなった。準暴力団や半グレなどの反社会的犯罪行為を厭わない集団など多様化している。
●暴力団の構成員は2005年の8万7000人をピークに減り始め2021年末には総計2万4100人と7割余り減った。
●徹底的な法改正と社会全体に浸透した「暴排」によって、種々様々な暴力団資金源が絶たれていった。キャバレーやスナックなどのおしぼり代、氷代などとして金銭を得ていた「しのぎ」も暴力団の名を示して解決する「ケツ持ち」の関係も絶たれていった。そしてトクサギが圧倒的に増加した。
●被害者の9割は60歳以上。社会構造が生み出している側面も。富める高齢者と貧困の若年層という側面。特殊詐欺は2003-2021年までの被害総額は5743億円。これらが、反社会的組織の資金源となっている。法改正も間に合っていない。
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