本要約ブログ

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【バカと無知】

 

【バカと無知】

SNS(主にTwitter)での論破合戦や、多数決や議論の末のバカらしい結論が生まれる理由などが歴史的、構造的に理解出来て面白かったです。取り敢えず書き口が痛快で読んでいて気持ちいい。

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我々の脳には感度の高い火災報知器が備え付けられている。サバンナでライオンが飛びかかってくることのない現代では、ものすごく平和で安全な社会で少し日常と違う事が起こっただけで警報器がけたたましく鳴り響く。

脳は良い出来事よりも悪い出来事を強く経験して記憶するよう「設計」されている。

人類は進化の歴史の大半で最大150人ほどの共同体で生活していた。観客は極めて厳しく1人も生きていく事ができないから集団から排除されることは即、死を意味した。これが進化の淘汰圧になり相手が何を考えているのかを素早く察知したり相手の気持ちを感じたりする能力を発達させていった。

アメリカの調査では従業員の3人に1人がハラスメントの被害を受けた経験があるというがパワハラ加害者になった事があると答えたのは0.05%であった。

脳の基本仕様は被害を極端に過大評価し、加害を極端に過小評価するようになっている。

我々の祖先は、深刻なトレードオフに直面した。

・目立ち過ぎて反感を買うと共同体から放逐されて死んでしまう。

・目立たないと性愛のパートナーを獲得できず子孫を残せない。

どうやって生き残ったのか。「目立たずに目立つ(自分を有利にする)」作戦。自分についての噂を気にしつつ、他人についての噂を流す。

バカは自分がバカであることに気づいていない。楽観主義バイアスが、個人の能力なやよってどう変わるのかを測る実験。

論理的推論問題の出来栄え点数を下位1/4の学生に尋ねたところ、実際は平均12点だったにも関わらず68点と答えた。上位スコア1/4学生は平均86点だったにも関わらず74点しかないと思っていた。

頭の良い人は「自分もこれくらい解けるんだから他の学生はもっと出来るだろう」と考え、他者を過大評価した。バカは、自分が頭が良いと考え、自己を過大評価した。「そもそも自分が能力が低いことを正しく認知できていないのではないか」バカにつける薬はないとはこの事である。

知らないことを知らないという二重の無知、二重の呪い。知っていることを知らないというのは直感、暗黙知と呼ばれる。

人は旧石器時代から何百万年間も150人ほどの小さな共同体の中で地位を巡って争った。能力が低いことを他者に知られるのは致命的であるため、能力を大幅に過大評価するように進化した。

民主的な社会がうまくいかない理由。能力の高いものは相手も同様の能力を持っているだろうと想定するし共同体の中で目立ちすぎると多数派によって排斥される危険性がある。バカは自己を過大評価しているため、賢者がバカに引きずられて間違った選択をしてしまう。

賢いものがバカに引きずられることを平均効果という。愚か者が自分の能力を大幅に過大評価し、賢いものが自分の能力を過小評価する結果、集団での決定はバカに引きずられる。

バカと利口が熟議するという悲劇としてTwitterが挙げられる。かつては言論空間の民主化と言われていたが、陰謀論の温床になることが分かり熱狂は消え失せた。

美男美女は幸福じゃない。外見は子供の頃からほとんど変わらないから絶世の美男美女であってもとうに自分の容姿に慣れている。外見が主観的な幸福度に影響しないのは当たり前。外見と収入でいくと美人は平均より8%収入が多く、不美人は4%少ない。美男は4%収入が多く不美男は13%少ない。

外見が魅力的だと得をするケースが多いがら本人たちはそれが日常なのでいちいち自分が幸福だと感じない。

人は徹底的に社会化された動物なので共同体を離れて1人で生きていくことは出来ない。弱者に共感して支援する、仲間のために自分を犠牲にする。

だが一方で性愛競争に打ち勝ってパートナーを得て子孫を残さないといけない。生存のためには他者と協働しないといけないが、生殖のためには他者を押し退けなければならない。このトレードオフに数十万年前から人類は直面して来た。

 

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