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【超入門 失敗の本質】

 

【超入門 失敗の本質】

日本軍と現代日本に共通する組織的ジレンマをわかりやすく、そして1990年代からの30年の日本の停滞とも関連付けて、解説頂いている「失敗の本質」。本当に勉強になりました。

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大東亜戦争における日本軍の組織的な失敗を分析したもの。なぜ開戦に至ったかではなく開戦後の日本の作戦における戦い方を対象に組織のしての日本軍の失敗を研究している。この考察は現代日本の組織にとっても教訓となることが多い。

なぜ負けたのかを物量の差や一部のリーダーの誤判断のせいにするのではなく、そうした誤判断を許容した日本軍という組織の特性を明らかにする事で戦後の日本組織一般にも無批判に継承されたこの国特有の組織のあり方を分析するもの。

想定外の変化に対応する組織だけが生き残る。突然の危機的状況への日本組織の脆弱さ認めざるを得ない。

最前線が抱える問題の深刻さを中央本部が正しく認識できず上からの権威を振り回し最善策を検討しない。部署間の利害関係や責任問題の誤魔化しが優先され変革を行うリーダーが不在。

失敗の本質から学ぶ敗戦7つの理由。

・戦略性:日本人は大きく考えることが苦手。俯瞰的な視点からの最終目標への道筋を作り上げることに失敗しがち。

・思考法:日本人は革新が苦手で、練磨が得意。

イノベーション:自分たちでルールを作り出すことができず既存のルールに習熟することばかりを目指す日本人気質。

・型の伝承:創造ではなく「方法」に依存する日本人。文化と組織意識の中にはイノベーションの芽を潰してしまう要素がある。

・組織運営:日本軍の上層部は現場活用が徹底的に下手。現場と組織中央部をどう結びつけるのか。

・リーダーシップ:現実を直視しつつ優れた判断を下すことが常に求められる。正しい方向性に組織を引っ張り環境変化を乗り越えるためにリーダーが行うべきことは。

・日本的メンタリティ:空気の存在や厳しい現実から目を背ける危険な思考への集団感染、リスク管理の誤解。

戦略の失敗は戦術では補えない。日本軍の戦略があまりにも曖昧だった。日本軍は「目標達成に繋がらない勝利」が多かった。米軍は目標達成に繋がる勝利が多かった。

戦略とは目標達成につながる勝利を「選ぶこと」

指標こそが勝敗を決める。インテルと日本電機メーカーの指標の違い。インテルは追いかける指標を「活用しやすさ」にした。日本メーカーはMPUの「処理速度」を追いかけていた。

性能面や価格で一時的に勝利しても、より有利な指標が現れれば最終的な勝利には繋がらない。

日本軍の作戦において戦略が存在しないか、あっても間違った指標を追いかけている。米軍は空母を最優先で沈めるという指標を含め全体の戦果につながる効果的指標を常に設定している。

創業以来48年連続増収増益の伊那食品工業は成長要因に用途拡大戦を挙げている。寒天の使用用途を年々拡大していける事業・技術開発をしている。

マイクロソフトはソフトの互換性とネットワーク効果によって世界を制覇できた。互換性とネットワーク効果を利用したビジネスモデルはプラットフォーム戦略と呼ばれているが、商品単体の性能を問題としないことでものづくり大国と呼ばれた日本が後塵を排する大きな要因となっている。

「同じ指標ばかりを追いかけると敗北する。」日本の誇る零戦は高い運動性能で空中格闘戦に優れていたが、米軍の新型戦闘機はいずれも格闘機ではなく火力や防弾性能を高めた上、集団で零戦を攻撃する戦略で圧勝した。

一つのアイデアを洗練させていくことが得意な日本人は小さな改善を連続的に行うことで既存の延長線上にある成果を上げることに成功しやすいが、大きく劇的な変化への対応に極めて弱いのが日本組織。

相手が積み重ねた努力を無効にする仕組み(創造的破壊)を生み出す3要素。

1、優秀な人材の抜擢、自立性の尊重

2、技術革新

3、運用

携帯音楽プレイヤーは既にあったが、アップルはiPod×iTunesとしてネットワーク化しプラットフォームにした。

イノベーションを創造するステップ。勝敗を支配している既存の指標を発見する敵が使いこなしている指標を無効化する支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う。

日米軍の強みが勝敗を分けた。

・日本軍の強み

1.体験的学習によって偶然生まれるイノベーション

2.練磨の極限を目指す文化

・米軍の強み

1.戦闘中に発生した指標(戦略)を読み取る高い能力

2.相手の指標を明確にし、それを差し替えるイノベーション

戦いの前半戦は偶然生まれるイノベーションによって日本は勝てるが、後半戦は過去の指標(戦略)が機能しないことに戸惑い右往左往すること間に勝負を決められてしまったことは1990年代以降の日本の停滞とも相当部分重なる。

日本人は成功の本質ではなく型と外見だけを伝承する。過去発見されたイノベーションを戦略思想化し「虎の巻」としたい欲求が存在している。日本が勝つためには「勝利の本質」を伝承させることだ。

乗り越えられない問題は、視点の固定化が生み出しているかも知れない。日本軍が戦局の転換で大混乱に陥り正しい戦略策定をほぼすることなく闇雲に同じ行動を繰り返して敗北する様子は、本質を失った型の伝承を想起させる。

成功体験が勝利を妨げる。過去の成功体験が通用しなくなる。

イノベーションの芽は「組織」が奪う。日本でもレーダーが開発されていた。日本軍部のレーダー兵器に対する「理解のなさ」と「徹底的な軽視」。

あなたが知らないという理由だけで現場にある能力を蔑視してはならない。優れた点を現場に見つけたら、自主性・独立性を尊重して最大最高の成果をあげさせる。

米軍が追及した戦果につながる人事システム。有能な者の能力をフルに発揮させかつ知的エネルギーを枯渇させない人事。実践で優秀さを証明した少数の者に重要な仕事を集中させて成果を極大化。

自分の目と耳で確認しないと脚色された情報しか入らない。

 

 

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