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【なぜヒトだけが老いるのか】

【なぜヒトだけが老いるのか】

ヒトが集団で生きるようになってからのシニアの活用が寿命に関係していることなど、歴史人類学、生物学などもミックスした展開で興味深い本でした。

なぜヒトだけが老いるのか (講談社現代新書) https://amzn.asia/d/82frw6t

●我々は最初から死ぬべきものとして生まれて来ている。切っても死なないプラナリアも踏みつけられれば死ぬ。「死ぬもの」だから「生きもの」である。

●生物は変化と選択を繰り返す進化のプログラムによって今の姿、形、性質の全てを獲得した。死ぬことは他者を生かす、という意味にもなる。

●全ての生きものは偶然、勝手に、利己的に生まれるが、死ぬ時には結果の差として他を利する形で公共的に死んでいく。個体にとっては終わりでも地球上の生命にとっては絶対的に必要な意味のあること。死は進化の原動力である。

●ヒトは老後が30-40年と非常に長い。老いとは全ての生物に共通した絶対的なものではない。

●老化とは細胞レベルでも個体レベルでも不可逆的なもの、つまり回復できずに時間と共に衰えていくこと。いがいなことに一般的にヒト以外の生物の老化期間は短いか、ほとんど無い。つなり老化と死がほぼ同時に訪れるということ。

●野生の生き物は基本的には老化しない。体力が衰えると狩りができなくなり食べられなくなって死ぬ。食べられるか、食べられなくなって死ぬか。のんびりと老後を迎えることはできない。

●ゾウは寿命が長く60年生きるものもいるが老化して傷ついた細胞は像の中で排除されるためゾウは基本的に老化症状を示さない。死ぬ時は心筋梗塞などの循環器系の不具合が原因でピンピンコロリというかたち。ヒトにとって少しずつ老いていくことは自然界を見渡すととても珍しいこと。

●加齢とともに徐々にDNAが壊れて遺伝情報(設計図)であるゲノムがおかしくなる、その結果細胞の機能が徐々に低下し老化して死ぬ。

●ヒトの細胞の中で一番数が多い血液の細胞は約4ヶ月で新しい細胞と入れ替わる。骨の細胞が一番入れ替わりにくく約4年で入れ替わる。

●居座り老化細胞の悪行。幹細胞の老化によって新しい細胞の供給が減ると老化細胞の排除がうまくいかなくなる。結果老化細胞はそのまま居座り、炎症性サイトカインという物質を作り出し続ける。これが周りの細胞の炎症を増大させ臓器の機能低下やがん化を引き起こす場合がある。

●ヒトの本来の寿命は55歳くらい。最近100年で2倍に伸びており、大正時代の2倍となった。チンパンジーやゴリラに比べてもヒトだけが特段に長い。そこに本来似るはずであるという。そして哺乳動物の総心拍数は一生でほぼ20億回。ということからの推定。

●人生の40%が生物学的には「老後」。ヒトが老後長生きになった理由でおばあちゃん仮説というものがある。ゴリラの赤ちゃんは夜泣きしないし、抱っこする必要もなく赤ちゃんはお母さんゴリラの体毛にしがみついて移動する。母ひ両手が使える。人間はそれができず母親は疲弊する。ここで40-50代のおばあちゃんが登場。子育て経験もあり、母親の負担は激減する。そして2人目以降の余裕が生まれる。といつヒトの長寿は進化的な「選択」が働いた。つまり長寿が有利だった。

●シニアがいる集団は有利だった。シニアとは年齢的な定義ではなく集団の中で相対的に経験知識、技術に長じた物事を広く深くバランスよく見られる人を意味する。マンモスを倒す際も集団としての結束力が強まり、生産性が向上すると生活基盤が安定し子供が増え同時にシニアのニーズが増大していったと推察される。

●分業社会では、誰が何をやるのかと担当者を決めることが難しい。その調整役としてシニアが適任。私欲が少なく全体の利益を中心に判断と説得ができるシニアが最適だった。元々シニアは誰かの親や祖父母だったりするので、逆らえない存在としてご意見版的な立場の人がいる方が集団としてうまく機能した。

●老いは死を意識させ公共性を目覚めさせる。集団において子育てや教育に貢献し集団を安定させ豊かにする役割がいる方が有利となる。そのシニアの存在がいると強い集団となりヒトの長寿化に繋がっていった。

●生物学的に考える人の社会の2層構造。若者が活躍する「学びと遊びの部分」(クリエイティブ層)とシニアが重要な役割を担う「社会の基盤を支える部分」(ベース層)。

●不老長寿の最新研究として3つあり、1つはゲノムの脆弱部位を壊れにくくする方法を編み出すことで寿命延長効果が期待される。2つ目は老化細胞除去。アポトーシス(細胞死)を引き起こす遺伝子を働かせて自ら消えてもらう作戦。運動能力、腎臓機能、体毛などで老化症状の改善が見られている。3つ目は、免疫作用を活発化し残留老化細胞を排除する方法。まだ時間がかかるが10年くらいにで実用化の目処が立つ可能性あり。

 

 

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