【人はどう死ぬのか】
医療は死に対して無力であるということが繰り返し出て来て印象的だった。ある程度死を受け入れて生きるということが死生観にもつながると感じた。
人はどう死ぬのか (講談社現代新書) https://amzn.asia/d/1eLmOOB
●誰も書かなかった新しい死に方の教科書。平穏な死を迎えるには何をどう準備すれば良いのか。
●医師は死に多く向き合う。すると不謹慎かも知れないが死に慣れてくる、やがて死に遭遇しても心にゆとりが生まれる。
●昏睡状態となると、空気を吸っても無意味で、本人は意識がないので、しんどさは感じないはず。
●最期の科学呼吸が起こってから暫くしてから死を家族に告げる。
●心停止してからすぐに細胞が死滅するわけではなく、呼吸が無くなっても臓器がすぐに死ぬわけでは無い。何を以て死なのかは定義次第。
●心臓マッサージは肋骨が折れるほどやる。しかし、亡くなる前は心臓マッサージをするが、儀式である。亡くなることは確定しているが、家族に医師は最善を尽くしてくれたと思ってもらい、後の訴訟などを防ぐために儀式的に心臓マッサージをする。
●手続き上の死と法律上の死がある。手続き上、医師がご臨終を確認して手続き上の死となる。
●法律上の死として脳死が人の死と認められるようになった。脳幹が生きていると臓器は生きられる。心臓移植する際、心臓は生きているが、脳は死んでいるという状況を打破するため脳死という方法が生み出された。生物としては心肺停止を以て死となる。
●尊厳死は日本で法的には違法であるが、水面下で行われている。家族や本人のためにも許されて然るべき。
●ある程度の歳になれば死を受け入れて過ごす。足るを知る事が重要。
●著者は治らないと決まった患者への治療である終末期医療を研究した。
●終末期のがんになると医学的には治療をしない方が良いが患者は治療を求めてくる。どうしたら良いかという医師共通の悩みをサウジアラビアの医師に相談した。
●死を受け入れよ、神の加護がある。と言うようアドバイスされた。宗教的な違いはこのようなところでも現れる。
●オーストリアにいた時、検査で分かった病気を告知をしないようにすることは、検査する意味がないので、全て告知すべきだ。患者も医師も事実を受け入れる用意を持つべきだ。という意見が真っ当であった。
●死の恐怖とは何か。死が病院で起こることになり、身近ではなくなった。
●人の死に目に会う回数は、一般の人が祖父母、父母など全て会えても多くて6回くらい。
医師は、死に目に何とか会わせてあげたいと思っているが、死に目に会うよりも大切なことは、普段からきちんと向き合ってコミュニケーションを取っておくべきということである。
●コロリと逝く人は、実は若くから不摂生して睡眠不足、酒とタバコをやりまくって、血液検査異常値ばかりの人が心筋梗塞や脳卒中でコロリと逝く。健康に気を付けている人は血管や内臓も丈夫なので中々死なない。
●心筋梗塞や脳卒中で死ぬ時は胸や頭に死ぬほどの激烈な痛みを抱えて突然亡くなるため、死に対する準備ができない。ネットの閲覧履歴やお金、人間関係など、現在のそのままである。
●がんで亡くなることは、予め大体いつ頃亡くなるのかが分かるため、いつまでに誰に会っておくのか、やりたいことをやるなど予め実行できる可能性がある事が良いと言う人も多い。
●老衰は弱っていく自分を感じながら過ごし、いつまでなのかゴールがわからない。食事をしている際も誤嚥性肺炎の危険性と隣り合わせである。という側面がある。
●がんが人の命を奪うのは、全身に転移して、臓器の機能、免疫機能を奪う事が原因である。よって臓器、免疫の問題がなければ、共存する方法を取る方が良いこともある。完全に取り除こうとすると、副作用により免疫が落ちがんの拡大を許してしまうケースがある。
●がん細胞は毎日生成されている。それが5mm以上となり検出可能となったものががんとされている。
●安楽死、尊厳死ともに日本では認められていない。選択肢が認められていないが、人生の最後を自分で決められるようにするべきである。
●社会的圧力や周囲への遠慮などで安楽死を選ぶ人が増えるなどの反対意見がある。チューブやカテーテルを突っ込まれて耐え難い苦痛を強いられる人をいつまで増やし続けるのか。
●オランダでは安楽死が容認されている。
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●心肺停止の状態で運ばれて来て懸命に蘇生措置をしたが。大変な延命措置が取られる事が明白な場合、治療をやめたら殺人になるのか。尊厳死が出来るよう法として早く制定すべきである。
●死ぬ時は、ある程度、苦しみや痛みを伴うものとして受け入れておく。子供が注射を泣いて避けるのと同じようなもので、受け入れれば苦しみや痛みは緩和される。
●死を受け入れている在宅や施設での死は病院での死よりも穏やかで、満足しているケースが多い。
●意識が無くなったら病院には運ばない、と伝えておくことなども重要である。病院に行けば肋骨が折れるまで心臓マッサージをして、チューブを口から肛門から入れないといけない。
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